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日経平均株価は実に15年ぶりに2万円の大台を記録した。米国のNYダウやドイツのDAX指数など、世界の主要な株式市場が2008年のリーマン・ショック以前の高値を超えていたのに対し、長く低迷が続いていた日本の株式市場だが、アベノミクスが始まった2013年からわずか2年半で株価は2倍以上も上昇したことになる。15年ぶりに2万円台を回復した日経平均株価を凄腕の個人投資家はどう見ているのだろうか? 

超短期トレードでこれまで8億円を稼ぎ出した投資家は「日経平均株価が2万円になるなんて一生ないと思っていた」 
専業投資家のテスタさんは、過去10年で8億円を稼ぎ出した凄腕トレーダー。その投資手法は超短期のスキャルピングトレードで、値動きや出来高が大きい銘柄の売買を数秒~数分単位で繰り返し、一日の取引回数が数百回にも及ぶという。企業の業績や株価が動く材料の内容などのファンダメンタルズには関係なく、チャートや板を見て売買を行うテスタさんは、日経平均株価が2万円を記録した瞬間をどんな気持ちで迎えたのだろうか。 
「僕が株を始めたときも『日経平均株価は2万円になる』とか言われていたんですけど、結局はならなかったので、もう一生2万円になることなんてないだろうと思ってました。だから、何か感慨深いものがありましたね」 


テスタさんが投資を始めたのは2005年。つまり、投資を始めて以来、一度も日経平均株価が2万円だったことはない。それどころか、投資を始めた直後の2006年1月にはライブドア・ショックが起こり、その後も2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災と、何度も大きな株価急落を体験してきたが、今回のように2年半にもわたって一本調子で日経平均株価が上がっている状況は初めてとも言える。しかし、日経平均株価が2万円をつけても、考えていたほどは利益が出ていないという。 
「2013年頃には『日経平均が2万円になるなら10億円くらいは儲かってるだろう』と思っていたんですが、全然そうはならなかったです(笑)。とにかく、自分の場合は新興銘柄とか中小型株とかが動かないと儲からないということを痛感しました」 
実は今回の日経平均株価の上昇には、ユニクロなどの寄与度の高い一部の銘柄の上昇が大きく影響している。そのため、日経平均株価が2万円になったのに対し、東証に上場する全銘柄で算出されるTOPIX(東証株価指数)、さらに個人投資家に人気の新興市場・ジャスダックやマザーズの指数はいまだにリーマン・ショック前の高値には届いておらず、個人投資家が株式投資で儲けやすい相場とは言い難い面もあるのだ。 

では、今後の株式市場をテスタさんはどう見ているのか。 
「自分は企業のファンダメンタルズを分析するタイプではないので、日経平均株価の2万円という数字は、単なる心理的な節目くらいにしか思っていませんし『2万円なんて一生行かない』と思っていた自分が語るべきではないと思いますが……投資家の心理的には早々に2万円以上で安定することができなければ、一度は大きな下げが来るんじゃないかと思ってますね」 
今後は4月12日、16日に統一地方選挙が控えているのと同時に、毎年「セル・イン・メイ(Sell in May and go away=株価が下がりやすい5月に株を売れ、という格言)」と騒がれる5月も近く、このまま日経平均株価が2万円を大きく超えて上昇し続けるかどうかは不透明。今回の「日経平均株価2万円」というニュースで、株式投資に興味を持つ人も多いだろう。しかし、リーマン・ショックや東日本大震災などの急激な株価下落を生き抜いてきたテスタさんは慎重だ。 
「これから株を買うとするんだったら、『これから自分はたった2年半で8000円が2万円になった商品を買うんだ』ということを自覚してやってほしいですね」 
日経平均株価が2万円を超える状況は株で簡単に儲かる時代が来たかのように錯覚しそうになるが、過去10年の厳しい相場で利益を出し続けてきた凄腕投資家・テスタさんに浮かれている様子はないという点は肝に銘じておこう。 


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